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人質の朗読会

人質の朗読会

小川洋子

2012年度本屋大賞部門
第5位

クチコミ( 2

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた―慎み深い拍手で始まる朗読会。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして…。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

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「人質の朗読会」 の評価/クチコミ

りすさんさんの評価:

南米のある村で、反政府ゲリラによって人質にされた日本人8人が、
拘束されている間に1人ずつ朗読をする、という激しそうな設定ですが、これはあくまでも人質一人ひとりの体験談なので、どこにでもありそうな、
日常生活の中での話が続きます。

激しい環境の中での静かな話、という対比が見事な作品だと思いました。

この人質事件は架空の話ですが、静かに淡々と、主観を排除したような文章で事件の流れが
語られるので、作り話と分かっていても、現実の話のように思えてきます。

人質一人ひとりの話も、すべて静かに語られるのですが、人質にされていつ殺されるかも
分からない、といった状況下で、この人たちはどういう心境でこの話をしているのだろう、
聞いている他の人たちも、どういう心境で聞いているのだろう、と想像せずにいられません。

反政府ゲリラたちも、この人質の話をどのように聞いたのだろうか、と
本に書かれていない部分への想像がどんどん広がっていきます。

書かれていないからこそ、想像力をかきたてるのだと思います。

読み終わった後も、心の中にずっと静寂が続くような気持ちでした。

66さんの評価:

タイトルにある人質たちが全員命を落としてしまうことは冒頭で明かされる。私はその部分を読んで衝撃を受けた。重大なネタバラシではないのかと驚いた。しかし、すぐに、だからこそ以下に続く人質たちの朗読が更なる意味を持つことに気づかされる。

人質たちの死に際は詳細には書かれていない。想像の余地を残すものではあるが、いささか説明不足すぎはしないかとも思える。それも、だからこそ朗読の内容が光るのだと、読後に気づかされる。

人質の中に特別な人は1人もいない。誰もが変哲のない生活を送る一般人だ。そんな彼らが死に瀕して選んだ朗読の内容も、とりとめのない日常であるように感じられるが、どこかに些細なひっかかりを感じられる。そのひっかかりが、彼らが確かに自分たちの人生を生きた明かしなのではないだろうか。彼らの死に際を知れない私は、ただ彼らの生きた人生の1部分に触れ、1つの朗読を読み終わる度にこの命が奪われてしまったことに打ちひしがれた。

まるで自伝を読むように、しかし素敵な物語として、この作品は自分の人生も振り返らせてくれるように思える。

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