本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

光圀伝

光圀伝

冲方丁

2013年度本屋大賞部門
第11位

クチコミ( 4

なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか―。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す―。生き切る、とはこういうことだ。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。

クチコミを書く

「光圀伝」 の評価/クチコミ

kou789さんの評価:

どこか欠けたる印象の「光圀」という名前。それがラストに至ってずっしりと来る感じが印象に残ります。武士であり為政者であり燦爛たる名君の威光を纏った男の生涯の物語に、ここに血肉のぬくみが確かにある、と感じさせてくれる語り出し。虎が食い殺すように刀を肉に埋める感触や川に沈んだ屍に詰まった蛆、凄惨で血腥いあたたかさ、とでも言うべき空気感がこの小説にはずっと通底しています。個人的に、特に印象に残ったエピソードは、戦国の世というものを樽の中のねずみにたとえ、互いが互いに殺し犯し食らうその凄惨さを目にするところです。

エピローグはけっして爽やかな大団円を目指すところではないのだな、と思いました。さながら秋の野のようなほのかな明るさと、そこに吹く風のようなどうしようもないさびしさに名君ともいわれた男のいのちが吹き抜けていく一瞬を感じます。

はらわたに埋めた刃のようなずっくりとした重みと、そして血肉が迸るときの熱い痛みと滾りを手に取るように感じさせてくれる物語でした。

イックさんの評価:

 この作品は水戸光圀の一生を描いた物語だと知り、最初は水戸黄門のイメージから勧善懲悪というか、悟りを開いている老人というか、いい人の代表といった人で特に興味も持っていませんでした。

 それでもこの作品を手にしたのは沖方さんの「天地明察」があまりに面白かったのでその作家の歴史小説第2弾ということで読んでみたのです。

 いい意味で水戸黄門のイメージは壊されました。何故なら光圀が、一人の男を殺す場面から物語はスタートするのです。そして次は7歳の光圀少年が生首を引きずるシーンとなるわけです。この光圀の少年時代の描写がとても私は好きです剛毅でそして苛烈な部分がかなり魅力的に描かれていて個人的には少年時代だけを楽しみたかったなんて思うくらい痛快な物語だったんです。

 物語後半はいろいろ物々しい印象を受けますね。役職につき出世するのですが、いろいろ思い通りにならない日々が描かれています。まあ人生楽しいばかりではないので仕方がないと思うのですが、そういう意味ではとてもリアルに人間を描いている作品だと言えますし読み応えのある小説です。

雪さんの評価:

 光圀伝はその名とおりテレビでもお馴染みの水戸光圀公の生涯を描く作品となっています。ですがこの光圀公、馴染みのおじいちゃんの若かりし頃は大層に破天荒であったというストーリーであり度肝を抜かれると思われます。この作品を書いたのは「天地明察」でもお馴染みの冲方丁であり、なんと前作の主人公である安井算哲も出てくるのです。

 さて内容のほうですがこの作品は三部に分かれており、「天・地・人」がそれぞれ少年期・青年期・老年期を描いています。おそらくは最初の天の章では光圀公の父親である頼房の豪胆さに仰天し、またその父の試練を必死に乗り越えようとする光圀の姿に大物を感じざるを得ないでしょう。続く地の章では彼の青年期の燃えるような向上心や文学に打ち込む姿などは「天地明察」のような学問に生きる人間の情熱に胸が暑くなりました。そして最後の人の章では皆よく知る黄門様も、人生を振り返る時期になってその情熱的な人間性は内側の内省へと深く静かに燃えるような人間だったという思いに静かに感動しました。とにかく重厚な物語を読みたい方にはお勧めです。

光圀伝さんの評価:

双子の赤ちゃんの子育てに疲れていたころ、主人が買ってくれました。

歴史、すきでしょって。

なんとなく読み始めたのですが、今まで読んでいた時代小説と少し違うと思いました。

光圀の生涯を語るのですが、常に淡々としていて、極端に主人公に寄ることなく、若いころの彼の苦悩や志が熱く語られています。

私も初めての子育てで悩み、疲れ、なんとなく続いていく毎日に迷っていました。

このまま自分は家庭に埋もれて死んでゆくのではないか、何もできずに一生終えてしまうのではないか。

そんな一生なら死んでしまいたい、とさえ思っていました。

そんな風に鬱々と過ごしているとき、この本のそんなに死にたいなら殺してやる、という一節に、本に語り掛けられた気がして泣きたくなりました。

死にたいと思うくらいなら、自分でもっと自分を高める努力をなぜしないのか。

まさに、答えだと思いました。

光圀というと、大日本史を完成させた偉人、というイメージしかありませんでしたが、きっと彼にも思い悩んだ時期があるのだろう、と想像して少しほっとしました。

閉じる

コメントを投稿する

※投稿されたコメントは管理者のチェック後、サイト上に反映されます。内容に依り削除・編集させて頂く場合が御座います。

送信する

冲方丁 の他の書籍

2013年度本屋大賞部門の他の書籍

2013年度本屋大賞部門ランキングを見る >

受賞年度別

著者別