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博士の愛した数式

博士の愛した数式

博士の愛した数式

小川洋子

2004年度本屋大賞部門
大賞

クチコミ( 8

「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

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「博士の愛した数式」 の評価/クチコミ

nojiさんの評価:

本は、あまりこだわらずに読みやすい本を読んでいるけど、最近は年をとったからか、素直に、ぐっとくる本って少なくなってきた気がします。

そんな私ですが、この本は良かったです。疲れた心が、すごく癒されました。

仕事の休み時間に読んだときには、パニックになっていた頭から、熱がすーっとひいていきました。

上司にいらいらしていた気持ちも、なんだか暖かく優しい気持ちに変わっていくような、そんなお話です。

主人公の母は、あるがままの状況をきっちり受け入れて、優しく生きているところが素敵です。

現状に不満なんか感じず、かくのごとく、対応していきたいものです。

私もこんな母になりたいです。

母とルートと博士の関係は本当に素敵で、穏やかで優しい空気が流れていて、私もそんな環境で生きていけるように謙虚に優しく生きたいなぁと思います。

これからは、パニックになったら、素数に思いを馳せようと思います。

1,2,3,5,7,11,13,17,19。。。なんとなく心が落ち着く気がしてきました。

たかさんの評価:

映画化された小説で、映画を見たこともなく、小川洋子作品も読んだことはなかったのですが、手にとって素晴らしい作家三田と分かるのに時間はかかりませんでした。まず感じたのは独特の静かな空気感。これは(この後も何冊か読んだのですが)小川洋子作品全てに通じるものです。読み進めていくにつれてまるで外の音すら聞こえない無音の穏やかな世界。きっとこれは彼女の透明な文章から生まれてくるものでしょう。この本の主人公はある事故によって記憶が80分しか持たなくなってしまった悲しき数学者。そして彼を「博士」と呼び、彼の語る芸術のような数学に魅了されていく家政婦、頭の形を見て博士に「ルート」と呼ばれるようになる息子、その3人のふれあいを母屋から見守る奇妙な女。この4人から構成されています。この本を読んで一番感銘を受けたのは、私も家政婦と同じように博士が語る数学がまるで美しい「芸術」に見えたのです。素数・完全数・ルート-1…全てがとても美しいのです。物語も素晴らしいのですが、この数学というものの美しさ、それを教えてもらうだけでもこの本は読むに値する本だと思います。

小夏さんの評価:

とても美しい物語です。まず映画を見て感動し、それから原作のこちらのい書籍を購入して読んだのですが、博士の非常に個性的な性格と主人公の女性、子供との触れ合いが本当に優しく、そして切ない。

記憶を保てない博士の切なさと不器用な心の交流が、文章としてはとても淡々と描かれているのですが、時折それが胸を締め付けるほど切なく感じます。

個性的な性格で、突飛な発言も多い不思議な博士ですが、苦悩している姿が垣間見え、どんどん引き込まれていきます。また、博士の、主人公の息子(ルート)への愛情が感じられ、それが非常に優しいのです。

淡々とした文章で物語は進んで行きますが、全体的には爽やかな風のように感じられる美しい物語です。

数学の云々の部分はわりと理解できないまま読み進めていたのですが、数字が結びつける(というより、数字を介してしか人と結び付けない)孤独な博士と、それを理解する主人公&息子の人間愛の物語。読み終わったあと、なんとも言えない、切ないような、けれど暖かく前向きになれるような、不思議な読後感が残ります。

papizouさんの評価:

悪人は映画で妻夫木智さんが出演するということで観ましたが、面白かったので小説も読んでみました。文章の情景や説明などがちょっと読んでいて想像しにくいところもあったので読むのに時間がかかってしまったのが残念でした。場所の情景を表現するのがもう少し分かりやすかったら良かったと思います。でも、人物の心理描写はとても良かったです。○○するようにというような例えの表現が多く使われていて、読んでいる方も登場人物の気持ちを想像しやすかったです。悪人は出会い系で知り合った女性を殺してしまい、これまた出会い系サイトで知り合った女性と逃亡生活をする内容なんですが、被害者の家族と被疑者の家族の苦悩がリアルに描かれた作品で、そこはすごいと思いました。被害者の家族は殺された娘を想い悲しみ、犯人を憎む。被疑者の家族はどうして身内が犯罪を犯してしまったのかと驚き、マスコミの躊躇のない質問に苦しむという様子が印象的でした。最後まで読んでみて、悪人という小説は一度読んだだけでは全てを理解するのが難しい、深い内容の小説でした。

響子さんの評価:

小川洋子さんの文章は読んでいると優しい気持ちになります。

読書する時間が癒しの時間へと変わる気がします。

これは読み始めると優しい時間が始まり、読み終わった後もずっと温かい感覚が残っているような作品です。

記憶が保たない博士に対する親子(家政婦とその息子)の誠実で優しい接し方がとても素晴らしくて心に響きます。

数学を愛する博士が名付けた息子のあだ名(ルート)も記憶が途切れる度に繰り返し名付けられますが、不思議とそれが邪魔臭くなく嬉しくも感じられました。

博士の人となりと、家政婦の人となり、その息子(ルート)の人となりが良い味わいを出していて凄く素敵な作品になっています。

癒されたい、優しい気持ちになりたい、衝撃的で刺激的な話は要らない、静かに泣きたいと思うなら一度手に取ってみるのを強くおお勧めします。

私は何度も読み返して、ほっこりしたり、涙したり(その時々で泣く場面が違います)しています。とても優しい小説です。

HEROさんの評価:

数多く読んできた小説の中でも、「小説でしか表現出来ない世界」を実感しました。

一日中ひたすら数式を解いている人、日常の言葉が数字なんて言う人は私達の日常生活では現実感がありませんが、家政婦やその息子ルートの存在によって実は人間味が豊かな人なのだということが現されるプロセスが面白い小説でした。

数の定義やら計算式やらとにかく数字が出てきますが、算数・数学にアレルギーのある私でさえ、楽しく読めた作品でした。

見ているだけで退屈してしまう数の羅列や定義を、登場する人物のやり取りや日常生活の様子を通してこれほどまでに楽しく読ませる作者の着想力・表現力は並みのものではないと思います。

日常生活では現実感がない、こんなことは有り得ないということを「面白い」と思わせるのが小説の魅力ではないでしょうか。

現実感がある要素で構成された小説では、単に日記やノンフィクションの延長に過ぎないと言ってしまっては言い過ぎですが、「小説とはこんなことまで出来るんだ」という、小説の持つ力を感じた作品であり、ぜひお勧めします。

評価は☆4つにしましたが、☆4.5というのが私の評価です。

こっこさんの評価:

1991年に芥川賞を受賞した「妊娠カレンダー」の頃の著作は、呼吸が苦しくなるほどの悪意に満ちていました。

端正で静謐な物語に仕込まれた毒にすっかり魅了され、まさしく中毒したように読んだものです。

それから時が経って、作者はあまり悪意を鋭く描かなくなったようです。毒は浄化され、静かで美しい物語をつむぐようになりました。

記憶が80分しかもたない世捨て人のような数学者と、とまどいながら世話をする家政婦とその息子。

それぞれ背負った悲しみをいたわりあいながら築いてゆく、ガラス細工のような関係。

そして、そこに交錯する数学者の兄嫁。彼女もまた深い悲しみを負った人であった・・・。

どうしようもできない悲しみが響きあうこの作品は、悲しいだけではなく、静かな優しい光を放っています。

数学を語る言葉も美しく、それが一層博士の消えてゆく記憶と永遠なものとを残酷なまでに対比させます。

初期作品の毒も懐かしいけれど、災害やらつらい現実であふれているこの時代、こういう物語もいいなと思います。

作者の年月の来し方が思われる作品です。

とこさんの評価:

私は決して理系ではなく、むしろ数学・物理関係は赤点だらけだったのですが、私が学生時代にこの本が出版されていたらなぁと思わされた本です。

それほどまでに、ただの無機質だと思っていた数字の世界が温度と質感をもって立ち昇ってくるような本です。数学を愛し、数字を愛する「博士」と博士の家政婦として働くことになった主人公の女性とのせつないラブストーリーです。

たくさんのメモ書きを張り付けて、孤高に生きる一人の天才老博士は、過去の交通事故により記憶がわずが八十分しかもたなくなってしまっていて、そのため、体中に忘れてはいけないことを書き付け、ペタペタと貼っていたのです。

博士の生き方は不器用で、主人公の愛し方も不器用でせつない物語ですが、心が澄むような図書です。小川洋子さんの著書は、ファンタジーに寄りすぎてしまうものもありますが、この物語はファンタジーが数学の力をかりて大変知的で地に足がついたユニークな世界を表現しています。

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