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悪の教典

悪の教典 上

悪の教典

貴志祐介

2011年度本屋大賞部門
第7位

クチコミ( 9

晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。しかし彼は、邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。学校という性善説に基づくシステムに、サイコパスが紛れこんだとき―。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。

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「悪の教典」 の評価/クチコミ

うたさんの評価:

貴志祐介作品はどれも好きですが、どれもわだかまりのようなものが残るのですが、主観ですがこの作品はまだましだったように思います。一見眉目秀麗で生徒やその親たちからも人気があり信頼の厚い教師が実はサイコキラーだったという笑えない話です。主人公である教師蓮見は人が死ぬであるとか殺すであるという行為に何の疑問も持っていないため、主人公に感情移入がきっとしにくいです。ただ、彼はこの状況ならこうするのではないかという推測は立つのでその目線で読み進めていくと、それをさらに上回る蛮行に及んでくれるので驚かされるのではないでしょうか。本作品も血みどろのグロテスクな表現が多くあるので苦手な方には全くお勧めできません。

ただ、蓮見には1か0かと判断しかないため読み手としては強行に及んだ因果関係は分かりにくくはないはずです。頭もよく、体も強く、顔もよい。自分の特性をすべて理解し、余すところなく使うのである種すがすがしささえ感じます。

一気読み必至の一冊かと思います。

アラサーパパさんの評価:

内容的にはサイコパスの人間を描いた面白い発想の本だなとは思うのですが、どうしても人を平気で殺していく内容にショックが強すぎて一応最後まで読みましたが、後味の良い本ではありませんでした。見たくないジャンルなのであれば見なければ良かっただけなのですが、少々サイコパスというものには興味があったものでしたから読ませて頂いた次第です。他の人間との気持ちの共感という物が欠落している犯罪者達は実際にどうゆう心境で犯罪を起こすのかという事に非常に強い疑問と感心を持ってきました。もちろん本の中のキャラクター通りでは無いにしろ近いものはあるのだろうなと思っています。私は読んで益々疑問が増えていくばかりでしたが、人間は他の人間と関わっていかなければ生きてはいけないと私は思っています。それを根本的に破壊されたような心境に陥りました。

本とはそれぞれに好みもあり、好きなジャンルも様々ですので、好きな人は好きだろうなと思います。

個人的には好きにはなれない本でした。

citrusさんの評価:

長編で上下巻に分かれている大作です。大作ですが長さは感じず、時間がある時にいっきに読むことができました。単純に面白いです。

大小さまざまなストレスなり問題を抱えている生徒と教師がいる学校の中に、放り込まれた天才的な知能を持つ殺人鬼の男。物語は生徒の視点だったり殺人を繰り返す教師の視点だったりさまざまに変化していきます。

上巻までは静かにすすむサイコサスペンスといった感じだったんですが、下巻でいきなり弾けとんだ感じですね。トロッコ列車かと思って乗ってたら実はジェットコースターでした、みたいな感覚。このあたりはもしかしたら賛否が分かれるかもしれませんが、自分にしてみれば良い意味で裏切られたと思いました。

結末のなんともいえない後味の悪さも良し。これほどまでに悪であることを楽しんでいる登場人物はそうそういないと思う。

著者である貴志祐介さんの作品は何作か読んだことあるけど、こんなストーリーを考えつくなと毎回感心させられます。

もりのよるさんの評価:

 貴志さんのミステリーは好きでよく読みます。代表的な作品といえば悪の経典か黒い家だと思います。こわい作品が代表的な作品ですが、ラストシーンがしっかりと描かれていて、ちゃんと解決するので、読んでいても楽しいです。個人的には青の炎のような切ないミステリーが好きですが、圧倒的にダークサイドに振った作品も潔くて好きです。悪の経典が映像化された時はさすがにと思いましたが、結構というかかなり良い作品でしたので、嬉しかったりもしました。こう書くとヤバい人だと思われるといやなのですが、作品としての仕掛けがしっかりしていて、悪い人の目線からみた事件というのもありだと思います。凶行に及ぶ先生の狂気はエンターテイメント性があり、ショットガンを打つという行為がスカッとする感じもしますが、これは犯罪でサイコパスの世界です。生徒側も一斉に逃げたら助かるのではと、生存の方法を僕だったらとか思ったりもしますが、読者にそういった想像をさせる読み方があるのも良い小説だと思うところです。本当は最後にこれは文化祭の出しものでお芝居でした。みんな騙されたねって内容なら笑えるのですが、最後までがっつりシリアスで、生き残りやADEの伏線がある所、蓮見先生は復活するかもって思える所も残してあり、やっぱりこわーいと思う小説だったりまもします。

 買って読んでも十分にその価格分の楽しみはある小説です。

ぽんたさんの評価:

表向きは、頭脳明晰でスポーツ万能な生徒から絶大な人気を誇る高校英語教師なのですが、実は人を人とも思わないサイコパスであり、自分に都合の悪い人を次々と殺戮していくというサイコホラー小説です。

彼は、他人の気持ちがわからないという欠陥を生まれながらに持っているのですが、相手の行動を分析することにより、どのような行動をすれば相手が自分を不快に思わないかということを学習していきます。

しかし、それは彼の根本を変えているのではありません。

完璧なまでに良い人を演じている彼ですが、自分にとって都合の悪い人物を排除していくのです。

私の頭では到底想像もつかないようなことが、次々と小説の中で行われていくので、続きが気になりむさぼるように読みました。

ハラハラドキドキが止まらず、なぜ皆騙されてしまうのだろうというイライラ感も相まって、すっかり虜になってしまいます。

最後もぞっとするような終わり方なので、最後まで気が抜けません。

nisiさんの評価:

 学校を舞台にしたサイコホラー作品。一見誰からも愛される高校教師の蓮見は、とびきり優秀だが普通とはかけ離れた倫理感の持ち主だった。善悪のボーダーが無いと言ってもいいかもしれない。そして蓮見はたぶん人を殺すのが好きなのだ。その「楽しみ」を続けるために教師の仮面をかぶって物色し、怪しまれない範囲で殺人に手を染めていた。つかまってしまっては「楽しみ」は続けられないので、その辺も考慮しながらうまくやっていたのだが、ひょんなことからそれが露見しそうになり、証拠隠滅のためいっそひとクラス皆殺しにしてしまおうと思い立つ。それは蓮見にとってはとても面白い狩のゲームで、蓮見の正体に気が付き始めていた一部の子供も含めて狩り出していく。最終的には蓮見の裏をかいて生き残った生徒たちがいたことで逮捕されるが、その子供たちに向かって「よく生き残った」と言った蓮見の言葉は、警察を欺く善良な教師としての言葉ともとれるし、自分の始めたゲームに勝利した生徒への賞賛の言葉とも取れる。そして最後に連行されていく蓮見は、精神がおかしくなってしまったかのような言動を始めるが、それすらも蓮見にとっては新しいゲームの始まりなのではないかと思わせる描写で幕を閉じる。生還した生徒が勝ったようにも見えるけれど、結局ずっと楽しいままの蓮見のひとり勝ちのようにも思われ、背筋の寒くなるようなラストだった。

イックさんの評価:

貴志祐介さんの作品は好きでその著作はほどんと読んでいますが、私としては初期の角川ホラーから出版されている作品群が一番好きです。

 悪の教典は文庫版で上下巻読んだのですが、正直な所これが貴志さんの作品なの?と驚いたくらいです。サイコホラーもので、教師の皮を被った殺人鬼が次々に生徒を殺していくといったストーリーなのですが、あらすじに記載してあるような「完璧な犯罪」とは言えません。杜撰な計画で行き当たりばったりのように私には思えました。この内容に上下巻は必用なかったのではと思わざるを得ません。

 貴志さんで完璧な犯罪というのなら、私は真っ先に「青い炎」をイメージしたのであの緻密さと動機とを比較するとこの作品の評価は低くなってしまいます。

 ですがこの作品は映像化もされたし、かなり売れたみたいです。もしかして私の好みの方がマニアックなのだろうか?なんて思ってしまいました。まあ確かにジャンル的には本格ミステリーとか青春モノだとスポーツものが好きとか偏りがあるのは事実だと言えます。

ひげなしルイージさんの評価:

映画化もされていますがぜひ原作も読んで欲しい一冊です。主人公は高校の英語教師で、ルックスもよくさわやかで、生徒たちにものすごく人気もあり、同僚の教師や父兄からも厚い信頼を得ています。しかしその正体は躊躇なく人を殺す殺人鬼だったのです。一般的なミステリーは犯人は最後に明らかにされますが、本作では最初から彼が悪の根源であることが明らかにされています。そのミステリーの常識を覆すほどの構成で、読んでいて犯人がわかっていながらも、次々に彼の術中にはまっていく生徒たちを見ていると、ミステリーを超越したホラーです。彼のホラー小説で「ISORA」や「黒い家」が有名ですが、それをも上回る怖さがありました。

学校という狭い世界で繰り広げられる殺人。登場人物はクラスを生徒中心に多いですが、貴志さんのわかりやすい描写とキャラクター設定で、一人ひとりをまるで映像で見たかのように人間性が把握できました。文庫でもかなりボリュームがある作品ですが、寝るのを忘れて読みふけりました。

吉澤さんの評価:

一見すると、頭がきれて生徒にも好かれ、教師や親たちからの信頼も厚い英語教師。英語教師を取り巻く日常は、穏やかそうに見えるのに、チラチラと怪しげな雰囲気が見え隠れしている。小説導入部分から読者を引きつける構成はさすがです。

ストーリーはまるで、平均台の上を歩いているかのような危なげな、でもなぜか目が離せない怖さと美しさを醸し出しています。基本的には教師の視点、たまにほかの登場人物の視点で描かれることもありますが、話が進むとどの人物に変わっても緊迫した空気が張り詰めています。予想を裏切られるストーリー展開に、誰でも必ず驚くと思います。ミステリーだけあってどんどんと様々な人に不幸が訪れますが、不幸の予兆を感じた人間たちがどのようにアクションを起こしていくのか、次の不幸を食い止められるのかといった部分は、繊細な描写なので映画を見ているような恐怖感と焦りがあります。

ボリュームもあるので読み応えがありますが、あっという間に読み終えてしまうほど面白い、1度は読んでおきたい名作ホラーです。

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