本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

想像ラジオ

想像ラジオ

想像ラジオ

いとうせいこう

2014年度本屋大賞部門
第8位

クチコミ( 2

耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず。ヒロシマ、ナガサキ、トウキョウ、コウベ、トウホク…。生者と死者の新たな関係を描いた世界文学の誕生。

クチコミを書く

「想像ラジオ」 の評価/クチコミ

あるてまさんの評価:

『想像ラジオ』は東日本大震災の津波に巻き込まれた一人の男性が、電信柱に宙吊りになったまま、想像上のラジオ放送を繰り広げるという奇抜な設定の中編小説です。

彼は最初、自分自身についての物語を語ることからラジオ放送を開始します。そして途中から、彼と同じように津波の被害を受けた被災者からの投稿を受けたり、彼の心配をする家族からのメッセージを受信したりしながら、想像上のラジオ放送を続けるのです。

作品のテーマは東日本大震災に関するもので、重たい内容となっています。しかし、作品の語り口はラジオDJ風の軽いもので、読み進めやすい言葉から作品は構成されています。

この作品は、ややもすれば他人の不幸をネタにしていると批判されることもあるのですが、作者はあくまで被災者・弱者側の視点に立って、この震災の意味について真摯に考えぬいています。

残念ながら当作品は芥川賞を逃した作品ですが、長らく執筆活動から遠ざかっていた、いとうせいこう氏の復帰作となっています。

この『想像ラジオ』を読み進めるうちに、思い通りにならない現実に対して絶望せずに積極的な関わりを放棄しようとしない主人公の姿が、執筆活動を本格的に再開した、いとうせいこう氏の姿に重なって見えてきて、不思議な暖かみのある気持ちを抱くことになるのです。

『想像ラジオ』は悲劇的な現実に対しても絶望してはならないと教えてくれる、不思議な作品となってます。

nikumisoさんの評価:

東日本大震災を題材にした作品は沢山ありますが、その中で一二を争う出来になっていると思います。

「原発が悪い」「地震が悪い」「今までの暮らしは原発があったからこそ」といったものではなく、ただ単に起こったものとして捉え、それで改めて自分たちはどうするのかと考えるクッションのような作品になっています。

しかし、単にシリアスな社会派の作品という訳でもなく、軽妙な文章には思わず笑ってしまうほどでした。子供にも親しみやすい文章になっていて非常に読みやすいですが、一方で先入観が強かったりディティールが気になってしまうとなかなか読み辛いかも知れません。

東日本大震災と絡めて話題になる事が多いのですが、それを抜きにしても面白い作品となっています。いとうせいこう作品らしく、王道の設定ながらも読者に残るものがある構成は流石です。ラジオDJという設定だけではなく、「死者の声を想像したくない」「生者がどう伝えて生きていくか考えるべき」といった意見すらも作品のギミックになっているようです。いとうせいこう作品の集大成、最高傑作なのかも知れません。

閉じる

コメントを投稿する

※投稿されたコメントは管理者のチェック後、サイト上に反映されます。内容に依り削除・編集させて頂く場合が御座います。

送信する

いとうせいこう の他の書籍

2014年度本屋大賞部門の他の書籍

2014年度本屋大賞部門ランキングを見る >

受賞年度別

著者別