本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

終末のフール

終末のフール

終末のフール

伊坂幸太郎

2007年度本屋大賞部門
第4位

クチコミ( 4

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

クチコミを書く

「終末のフール」 の評価/クチコミ

めいたさんの評価:

8年後に地球に隕石がぶつかり、人類は滅亡する。というSF作品なのですが、普通のSF作品はその隕石をいかに阻止するか?その時愛する人をどう守るか?というようなエアロスミスのあの歌が聞こえてきそうな内容になると思います。しかし、本作品は隕石がぶつかることがわかって世界が混乱し、色々なことが起きて少し小休止に入った時を描いています。隕石がぶつかるまで残り3年となった世界で人々は意外と普通に暮らしています。しかし、その心の中にはあと3年で世界が終わるという閉塞感が漂っているのです。もちろん人生いつかは終わると私たちはわかってはいますが、その期限がはっきりと見えるとき、人々は何を考え、どう行動していくのかを描いた作品です。読み進めながら自分だったらどうするか?自問自答しながら日々の大切さ、当たり前にある今の時間に感謝する気持ちが芽生えていきました。自分の生き方を見つめなおすきっかけとなるようなとてもいい作品です。ぜひ読んでみてください。

イックさんの評価:

 1999年に人類は絶滅するといった話をどれくらいの人が信じていたのだろうか。ノストラダムスの予言等世紀末にはそんな少々オカルトチックな話が出てきますよね。

 当然人類が絶滅することはなく、2000年を過ぎましたがあの時信じてなくても心のどこかでもしかしてと思っていた人は実は結構いると思うのです。私自身10代の多感な時期だったのでいろいろ想像をしてしまいましたよ。

 終末のフールは8年後に小惑星が墜落し人類は滅亡すると発表があった5年後の世界を描いた作品です。つまり滅亡まであと3年で、街の秩序は当然壊れて犯罪が多発し混乱が発生します。でもそんな中での8年というのは案外長いようにも思いますよね。

 仙台市北部の団地を舞台にした8つの短編からなる物語です。人類滅亡を前に人間はどんな行動をとるのかとても興味深く読ませていただきました。この小説の登場人物はパニックというより淡々としてます。ある意味とても地味な話なんです。人類滅亡を描いているにも関わらず、それを食い止める為に何とかするといった話ではなく受け入れる、その上で生きる意味を問われる話です。

 面白いというよりいろいろ考えさせられる小説であり、スゴイ作家さんであると思うのですが、私としては初期の作品のようなもう少しミステリーよりの話が読みたいと思います。

じょえたすさんの評価:

世界感がとても好きな作品である。

絶望を感じつつも、どこかその世界に慣れだしている、あるマンションの住人達のショートストーリーだ。

世界が滅亡する、と言われてはいるものの、いつその時がくるかも本当に滅亡するかもわからない。

滅亡するという情報から、既に数年経っているので、既に一通り暴動や混乱が起きて、世界自体は荒廃してしまっている。作中で描かれるのは、その暴動の後、一通り荒れて、落ち着きだした世界なのだが、この舞台設定にはさすがだと思った。

登場人物達は世界の滅亡が来ることは重大な事、と理解してはいる。

ただ、それがいつ来るのかは、本当に来るのかわからないので、当人たちにもある種の緊迫感がなくなっているのだ。その為、物資も不足していて、危険に遭遇する事もある、殺伐とした世界にも関わらず、日常生活を見ているような穏やかな雰囲気に包まれることすらある。

それぞれ、世界の滅亡はいつか来ることとして諦めていて、それまでをどう過ごすかをルールのない世界で考えている。ただ、いつまで世界が続くかがわからないので、滅亡による緊迫感より、滅亡の情報がもたらしたルールのない日常生活の方が印象に残り、不思議と続編を期待してしまうような作品だった。

うつうつさんの評価:

「本屋大賞」という賞があるという事を知ったのがこの小説だったので、とても印象に残っています。

 地球が滅亡することが確実となった世界を描いた作品です。しかし、その混乱を描いた作品ではないという所が、何よりもこの小説の魅力だと思いました。  

 「数年後に隕石が地球にぶつかり、人類は滅亡する」という事がわかり、それなりの混乱が一通りおさまった後の人類の様子を「日常」という観点から描いているというユニークさにまず惹かれました。

 ある夫婦は愛し合う生活を続ける生活を続ける中で子供を宿してしまう。「数年後には人類は滅亡する」という事が確実な中で自分達は子供を産むべきかどうなのかという一つの話は思い切り、「人生」とか「愛」とか「命」とかいうものを考えさせられました。「と自分達ならどうしただろうか」とついどこかで自分達に置き換えて、読みながらも悩んでしまいました。

 また、「日常」というものを続けようと学校へ行き続ける学生や、少しでも望みを託そうとマンションの上に毎日櫓を立て、より高くしようとする老人の姿など、全てがどこか悲しく、無意味だとは思いながらもそうせざるを得ない「人間の性」のようなものを感じました。

 何かせずにはおれない、しかし、何をしても無駄なのだという時にもやはり人はどこかに希望を見つけようとしたり、自分の毎日を大切にしたりしようとする・・・。そんな姿の人々が様々な形で描かれており、最後にはやはり涙がこぼれて止まりませんでした。

SFであり、恐怖を描いた小説でありながらもすべての話が淡々と進んでいく、それは本当に、淡々と人類の滅亡が迫っていくという事につながるのだと思いました。そのなかでの様々な人の「日常」を見事に描き、特に感動的な書き方でもないのにいつの間にか感動して、ジーンとして、本を閉じるときにはため息をつきながらみんなの幸せを願ってしまう、不思議な本だと思いました。

閉じる

コメントを投稿する

※投稿されたコメントは管理者のチェック後、サイト上に反映されます。内容に依り削除・編集させて頂く場合が御座います。

送信する

伊坂幸太郎 の他の書籍

伊坂幸太郎の作品をもっと見る >

2007年度本屋大賞部門の他の書籍

2007年度本屋大賞部門ランキングを見る >

受賞年度別

著者別