本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

重力ピエロ

重力ピエロ

重力ピエロ

伊坂幸太郎

2004年度本屋大賞部門
第5位

クチコミ( 7

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

クチコミを書く

「重力ピエロ」 の評価/クチコミ

あんさんの評価:

伊坂幸太郎さんの小説はとても好きですが、重力ピエロは最もすきな作品の一つで、誰にも言えず小さい犯行をずっとしている主人公がとてもかわいそうに思えます。犯罪を犯すけれども、それを誰かに知ってほしいという気持ちはとても共感することもできます。主人公が犯罪を犯すことがある人物への復習なのだとわかった時は悲しい過去があって、そしてそんな過去と向き合うために幾つもの犯罪を犯して行くストーリーは悲しさの中にも人間の弱さ、醜さ、様々な感情が入り混じっていました。伊坂幸太郎さんの作品はそんな犯罪者でも悪のために大切な人のために犯してしまった犯罪を応援しているような、悪いことだけれども人間の正義などもちゃんと描かれていて、バットエンドだけれどどこかほっこりするものが多くとても見終わったあとに爽快感もあります。映画も小説に負けることなく、素敵な作品になっているので、小説、映画共に見て楽しめるとおもいます。これからもファンでありたいです。

じょえたすさんの評価:

伏線の貼り方と、その回収の仕方が見事な作品だと思う。

ある家族と、近くで起きる事件の話。

仲のいい兄弟と親子の話かと、ほんわかした気持ちで読んでいるとどんどん暗い展開になっていく。

展開の暗さが極まる部分では少し憂鬱な気持ちになるが、伏線回収の爽快感は、その暗い気持ちを一気に吹き飛ばせるくらい快感だった。

また、主人公兄弟の過去エピソードから感じる家族の絆の強さは、心温まるものが多い事はもちろん、その回想のタイミングが絶妙である。

少しずつ明らかになる兄弟の昔のエピソードは、切り出すタイミングのおかげで「ただの思い出話」程度で読めてしまうのだが、真相がいくつも散りばめられている事にあとで気付く。

そうだったんだ、そういうことかど納得しながら、後半はほぼ一気に読んでしまった。

また、人気者で万能な弟と、平凡だが弟思いの兄の描写はとてもよく出来ていて、映画化されたと聞いてDVDのパッケージを見た時は、思わず頷くほど印象に残りやすいものだった。

伊坂幸太郎作品として2番目に読んだ本だが、この本を読んでいなかったら伊坂幸太郎に嵌らなかったかもしれない。本当に引き込まれる作品だった。

イックさんの評価:

春が落ちてきたそんな独特な一節で始まるこの小説が、私は伊阪幸太郎さんの作品の中で一番好きだったりします。基本的に私は勧善懲悪な物語が好きだったりするんです。

 だから名探偵が出てくるミステリーなどがその最もたるもので、名探偵が全ての謎を解決して終了するのですから非常に分かりやすくて、尚且つ名探偵は犯人にも被害者にもならない絶対的な安全圏にいる中立者なんです。

 

 しかしこの重力ピエロはそうではありません。どこか曖昧で何が正義なのか断言することは難しい。物語の中で春が「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」と言っている通り春自身がレイプの末に生まれた子でありながら、様々な葛藤を抱えて生きていて、それでも前を向いている姿がカッコイイと思います。

 このタイトルは空中ブランコの際にピエロは一瞬だけ重力を忘れることができる様に困難な事柄も越えることができるという著者の信念が込められていて、私自身もそんな風に物事と対面することが出来たらいいなとこの小説を読み強く思いました。

紫猫さんの評価:

伊坂幸太郎さんの本で、初めて読んだのがこの本です。

まず、物語の語り手と、その弟の複雑な関係に驚かされます。兄と弟は、母親は同じだが父親が違う。

弟の父親は、母親のレイプ犯。母親は周囲の反対を押し切り、弟を出産する。

この段階でもう、普通の家族環境ではないですよね。すごく重苦しい。

ところが、弟にはその陰が感じられず、明るく飄々としています。父も母も分け隔てなく兄弟を暖かく包んでいる。そこに連続放火事件が起きることで、少しずつ一人一人の心情が現れてきて・・・

読み進めていくうちに、すごく辛く胸が痛くて、でも途中で止めることはできません。兄も弟も、とても魅力的な人物。家族同士の強い愛情が、それぞれの人々の心を強くしています。

グラフィックアートの落書きや、軽妙なやりとりに現代的な軽さを入れながらも、人間とは、家族とは、生きることとは、という根本的な問題を投げかけてきます。

自分を貫こうとする生き様は美しく、正しいか間違っているかはともかく、エールを送りたくなる登場人物たち。予想外の展開に、そうだ、これはミステリーだったんだと改めて気づかされるほど、純文学に近いミステリーです。

響子さんの評価:

読み終えて、自分を見事な傍観者にしてくれる作品だったなぁと感じました。

内容は重い筈なのに、サラサラと流れていく何気ない日常の何気ない出来事の様に文章が軽くて、伊坂さんの文章がとても読みやすかったのです。

私ならレイプによって授かってしまった命をどうするだろうか??と時折考える瞬間もあるのですが、母親が春を生まなければ春と泉水は出会う事は無かったよなとも思ったり。しかし、春には父親(レイプ犯)の血が濃く出たのは誤算だったのだろうか…と切なくなったりと、小説を読み進めながら時折浮かぶこのような考えが、静かな水面に一粒落ちた雫のように心に静かに波紋を広げました。見事に傍観者(ニュースを見てる人のような)です。

淡々とした文章のお陰で傍観者になり、どう結末を迎えるのかそこまで気にしなくて良いので気楽に読めると言うか何と言うか…可哀想なんだけど、これで良いのかもな…という感じでしょうか、そんな気分になる作品でした。

読むのはとても読みやすい作品です。伊坂さんの文章が好きな方は一度読んでみたら良いかもしれません。

エゾシカオさんの評価:

ミステリーとして読むと少々物足りないと思いますが、伊坂作品の特徴というか魅力であるオシャレな会話は十分に楽しめます。兄弟や親子の関係について割と軽快に書かれてはいるのですがテーマそのものは重く、深く考えるとやや楽しめないかもしれません。物語にある会話同様、あまり難しく考えずに純粋に物語を楽しむことがオススメです。実際、重いテーマを感じさせない明るい登場人物たちや軽快な会話が繰り広げられており、そこがまさに伊坂ワールドと言えるのでしょう。また話の端々に出てくる細かなウンチクを楽しむことができればバッチリでしょう。最初に書きましたが、ミステリーとしてはどんでん返しもなく思った通りの展開になってしまうので、ある意味安心して読み進められると思います。物語全体を包んでいるオシャレな雰囲気を楽しみながら、伊坂ワールドの本流である軽快な会話に乗っかって読み進めるのが、この本の良さを一番わかる方法では無いでしょうか。

ぐらんさんの評価:

謎の放火犯を追う兄弟。その事件には落書きが鍵を握っていた……というストーリー。

この作品の根底にあるのは家族愛なのだと思います。レイプによって生まれた弟が、自分の存在を問うという思いテーマ。しかし兄も、病に倒れている父も、彼を受け入れ背中を押します。現実として起こったとしたらなかなかそうはできないでしょうが、その愛情に心打たれます。

謎解き要素もありますが、ミステリとしては若干弱い感じがしますね。あくまで「家族」の物語として読んだほうがいいと思います。劇的な展開や爽快な謎解きはない、静かな作品です。

個人的な好みになりますが、ちょっとこの文体が苦手です。読みにくいです。物語は面白いし書き方も決して下手ではないのですが、どうしてもそこが気になってしまいます。どうしても「値段分の価値はあるけど、個人的にはそれほど好きではない」という評価になってしまいますね。

この文体がハマる人にはきちんとおすすめできる本ではあります。

閉じる

コメントを投稿する

※投稿されたコメントは管理者のチェック後、サイト上に反映されます。内容に依り削除・編集させて頂く場合が御座います。

送信する

伊坂幸太郎 の他の書籍

伊坂幸太郎の作品をもっと見る >

2004年度本屋大賞部門の他の書籍

2004年度本屋大賞部門ランキングを見る >

受賞年度別

著者別