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全レビュー・口コミ件数:341件

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鹿の王

鹿の王 上

鹿の王

上橋菜穂子

2015年度本屋大賞部門
大賞

クチコミ( 3

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われてい た。ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てるが―!?厳しい世界 の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子の物語が、いまはじまる―。

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「鹿の王」 の評価/クチコミ

ニコさんの評価:

こんなにも壮大なファンタジーを母国語で読める幸せを感じます。上橋菜穂子さんの作品は「精霊の木」から全部読ませていただきました。もともと児童書のコーナーに置いてあったのですが、これらの物語は全て大人の本棚にも置かれるべきだと思っていました。それほどに扱われているテーマが深いのです。優れたファンタジー作品はどれもそうですが、その世界や登場人物についての設定が綿密に練られており、表現力豊かな細かい描写でそれが確かに実在すると思わせます。私たちの日常生活とはかけ離れた世界の物語なのに。いつの間にか読者も物語の中で呼吸をし眠り目覚める感覚を味わいます。「鹿の王」を読んだ時もそうした感覚になりました。その地に足を踏み入れた喜びで涙がこぼれました。喜ぶのも束の間、ウィルスとの闘いにあっという間に巻き込まれます。それは、まさに「恐怖」との闘い。自分の生きる意味、愛するものを守ることの尊さや難しさ、様々なことを考えさせられ、本を閉じてもなかなかこっちの世界に戻ってこられない、そんな作品です。

ジュンヤさんの評価:

物語は致死率の高い謎の病にかかり生き残った男と、その病原について研究を志す若い研究者の2人の視点で描かれ物語は進行します。

男は自分が生かされた理由を考え続け、研究者は研究者として自分の成すべきことは何なのかという自問を繰り返しながら、二人の人生が交錯し始めます。

社会の構造が複雑化の一途をたどる一方で、人間が生きていくことのの意味という、一種哲学的な疑問というものは、この現代においてもほぼ不変であることを思い知らされます。

人間が生きること、死ぬこと、病むこと、回復すること、迷うこと、進むこと…

壮大な世界観の中で、2人の主人公が感じ、考えていることを読者にダイレクトに訴えかける力強い作品でした。

舞台が、仮想の世界であるためファンタジーの要素も強く、読者を勢いよくけん引して物語の中へ引き込まれます。

結末が象徴的で、主人公らが物語の後にどのような生き様、あるいは死に様を辿るのか、読み手の想像次第です。

長い余韻を残してくれる良作でした。

ハルさんの評価:

ジブリアニメでおなじみのもののけ姫の様な世界感にも似たものを感じる作品です。

読み終わった後に何とも言えない余韻があります。

はっきりとした答えが見つからないテーマを、危機せまる展開と、ドラマチックな言葉遊びにより、徒競走を走っているかのように、息を飲んで一気に読み終えてしまいました。タイトルの意味を読者に強く投げかける主人公の決意は、人間の世界にも共通するものがあり、社会の理不尽な仕組みにもがき苦しむ我々人間と同じ環境にある作品だと同じ思いました。

生命とは何なのか病気とは何なのか、 クライマックスに向かうにつれて 生と死の匂いが、 文面からにじみ出てくるような リアルな錯覚に陥りそうになります。

ファンタジーな作品でありながらも、 ノンフィクションにも通じるようなリアリティがあり、 思いつきもしなかった 衝撃的な ラストシーンが待っています。

本を読んでいると、長い作品の時に、登場人物が、誰が誰だったのか分からなくなってしまうようなことがありますが、 そのような混乱に陥ることのない上手な文章の書き方が、さすが上橋菜穂子先生です。

上下巻ともに書き始めてから3年かかったという、さすがの内容となっている力作です。文句なしの本屋大賞です!

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