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うつうつ

うつうつ

 働き盛りの男性が「アルツハイマー」になっていく、それも、自分のやっていることを忘れてしまう事がどんどん増えていく事をじぶんで経験していくという事は、本当に自分にとって「恐怖」以外の何物でもないと思いました。私も体調関係で「早期退職」を経験しました。その時「今まで何の問題もなく働け、楽しい仕事仲間もいたし、何より自分できちんと収入を得る事が出来ていた。そんな生活がすべてなくなってしまう」という事はすごいショックであり、自分に対する自信や生きがいのようなものすべてが無くなってしまう恐怖感がありました。

 この小説の中でも「なんとか仕事関係の用事を忘れない様にとメモを取り付ながらも何とか努力し続ける主人公」が描かれています。しかしそれでも病気が進行しくという理不尽さや主人公の悲しみがずんずんと伝わってくる感じが忘れられませんでした。

 家族の助けや励ましがありながらも、やはりそれ以上に「自分で何とかしたい」と思う気持ちと、そんなことを何も感化が得ずに進行していく病気、いずれ全てを忘れてしまうかもしれないという恐怖を何とかしようとする主人公が、たまらなく悲しく思えました。

 そして最後のページの最後の場面の主人公の言葉に思わず涙がこぼれそうになりました。

奥さんと共に今までとはまた違った新しい人生が少しでも過ごせていければいいのになぁとむ真剣にこの何も書かれていない話の先を想像せずにはおれないような衝撃的であり、哀しく、そして希望を本当に望みたくなるエンディングの作品でした。

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