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うつうつ

うつうつ

「本屋大賞」という賞があるという事を知ったのがこの小説だったので、とても印象に残っています。

 地球が滅亡することが確実となった世界を描いた作品です。しかし、その混乱を描いた作品ではないという所が、何よりもこの小説の魅力だと思いました。  

 「数年後に隕石が地球にぶつかり、人類は滅亡する」という事がわかり、それなりの混乱が一通りおさまった後の人類の様子を「日常」という観点から描いているというユニークさにまず惹かれました。

 ある夫婦は愛し合う生活を続ける生活を続ける中で子供を宿してしまう。「数年後には人類は滅亡する」という事が確実な中で自分達は子供を産むべきかどうなのかという一つの話は思い切り、「人生」とか「愛」とか「命」とかいうものを考えさせられました。「と自分達ならどうしただろうか」とついどこかで自分達に置き換えて、読みながらも悩んでしまいました。

 また、「日常」というものを続けようと学校へ行き続ける学生や、少しでも望みを託そうとマンションの上に毎日櫓を立て、より高くしようとする老人の姿など、全てがどこか悲しく、無意味だとは思いながらもそうせざるを得ない「人間の性」のようなものを感じました。

 何かせずにはおれない、しかし、何をしても無駄なのだという時にもやはり人はどこかに希望を見つけようとしたり、自分の毎日を大切にしたりしようとする・・・。そんな姿の人々が様々な形で描かれており、最後にはやはり涙がこぼれて止まりませんでした。

SFであり、恐怖を描いた小説でありながらもすべての話が淡々と進んでいく、それは本当に、淡々と人類の滅亡が迫っていくという事につながるのだと思いました。そのなかでの様々な人の「日常」を見事に描き、特に感動的な書き方でもないのにいつの間にか感動して、ジーンとして、本を閉じるときにはため息をつきながらみんなの幸せを願ってしまう、不思議な本だと思いました。

2015年1月31日

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