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ぐらん

ぐらん

養父と娘による近親相姦の記憶を時系列を逆にしてたどっていく話。

非常にえげつない話なので、楽しく明るい読書経験を求めている方は読まない方がいいです。読む人の心にイヤーなものを生まれさせる本です。湿っぽい文体でじわじわと、読者を攻めるお話です。

しかしつまらないというわけではありません。他人の人生を出歯亀しているような背徳的な面白さがありました。こういう物語に嫌悪感を感じる人も多いでしょうが、明るいばかりが物語じゃない、そう思わせてくれる小説でした。

養父は本物の最低男なのですが、どことなく色気があってモテるのも納得してしまいました。なんでしょうね、あんなに醜い話なのに登場人物を憎めないのです。それがこの作品の優れたところですね。

共感はつゆほどもできませんが、こういうものもエンタメですね。「やってはいけないこと」を物語に没入して疑似体験するという面白さがあります。人は選びますが、優れた文学作品だと思います。

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