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たか

たか

映画化された小説で、映画を見たこともなく、小川洋子作品も読んだことはなかったのですが、手にとって素晴らしい作家三田と分かるのに時間はかかりませんでした。まず感じたのは独特の静かな空気感。これは(この後も何冊か読んだのですが)小川洋子作品全てに通じるものです。読み進めていくにつれてまるで外の音すら聞こえない無音の穏やかな世界。きっとこれは彼女の透明な文章から生まれてくるものでしょう。この本の主人公はある事故によって記憶が80分しか持たなくなってしまった悲しき数学者。そして彼を「博士」と呼び、彼の語る芸術のような数学に魅了されていく家政婦、頭の形を見て博士に「ルート」と呼ばれるようになる息子、その3人のふれあいを母屋から見守る奇妙な女。この4人から構成されています。この本を読んで一番感銘を受けたのは、私も家政婦と同じように博士が語る数学がまるで美しい「芸術」に見えたのです。素数・完全数・ルート-1…全てがとても美しいのです。物語も素晴らしいのですが、この数学というものの美しさ、それを教えてもらうだけでもこの本は読むに値する本だと思います。

2015年8月11日

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