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まあきゅりー

まあきゅりー

『ヘヴン』はイジメをテーマにした中編小説です。

主人公は斜視の目を持つ少年で、斜視を理由に中学校でイジメられています。その彼が、コジマという同じようにイジメに遭っている少女から手紙を貰うことから物語は始まります。

同じような境遇にある二人は文通を通じ、交流を深め、最終的に二人で外出するような仲になります。

二人はいじめについて会話を重ね、お互いの存在を頼りにし、二人の間には中学生らしい淡い恋心が芽生え始めるのですが、二人の関係はやがてイジメの首謀グループに知られることになってしまうのです。

このように『ヘヴン』は残酷な筋立ての小説です。

語り口は中学生の少年風にとても優しく、読みやすいものになっているものの、描かれている内容が残酷であるため、楽しく読めるタイプの小説とは異なります。

しかしこの小説は、イジメやその背景にある社会そのものの問題について、ある大きな命題を抱えています。

それは作品の終盤で、イジメの首謀メンバーと対峙した主人公が突きつけられる命題で、「自分がされたら嫌なことは他人にするな」という道徳観が意味があるのか、という疑問なのです。

その命題を突きつけられた主人公は返答に窮してしまうのですが、それを読む読者である我々も、そこで明確な回答を見つけられずハッとさせられてしまうのです。

この『ヘヴン』は、日頃「イジメは悪い」という単純な説明で片付けられがちなイジメ問題について、本質的な疑義を提示した、深い洞察に裏打ちされた小説だと言え、特に思春期の子供達に最適な読み物であると言えます。

2015年1月20日

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