まこ
『誰か – Somebody』に続く杉村三郎シリーズの第二弾ですね。前作も読んでいたので、一も二も無く購入し、一気に読了しました。
今回も、お人好しでお節介で優等生ぶった彼の態度には辟易してしまいました。
しかし、人間の心の闇を鋭く抉り出していくストーリー展開の巧みさには脱帽せざるを得ません。さすが、宮部みゆきといった感じです。
上手く表現できませんが、人間の持つ光と影の部分をこれでもか、これでもかと繰り返し読者に問い掛けてくる見事な構成力には凄味さえ感じました。現代社会の抱える闇の部分を、シックハウス症候群問題、工場跡地を住宅化したことで引き起こされた土壌汚染問題、コンビニで購入した紙パック飲料に青酸カリが混入されているとも知らず、それを飲んだ人々が次々ろ死亡する事件、そしてトラブルメーカーとして解雇されたアルバイト・原田いづみはの人格障害的行為を通して描く手法は、この著者ならではのものでしょう。
「謝罪をしたら、一方的に悪いと思われてしまうんじゃないか」って思ってしまう感情は、誰にでもあると思いますが・・難しい、人間って。そう感じさせてくれる作品ですね。
2015年9月20日