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みっちー

みっちー

吉田修一作品は、読書が苦手な私でもスラスラと読めるほど面白いものが多いのですが、この「怒り」は、本当に最後まで読みごたえがある小説でした。

「怒り」はどういう形で表現されるのだろう?と考えながら読んでいたのですが、予想していなかった物語の展開に、さすが芥川賞作家と思わずにはいられませんでした。

ある殺人事件の指名手配犯にまつわるストーリーなのですが、普通であれば、警察が犯人を追いつめていく展開が軸になっていたり、主人公が事件を解決していくパターンが多いと思うのです。

しかし、この「怒り」では、事件を追いかける警察は登場するものの、彼らが主人公というわけではないのが面白いところです。

犯人には、頬に3つのほくろがあったりするなど、いくつか特徴があり、指名手配写真も一般公開されます。そんな中、まったく共通点のない登場人物たちが、それぞれ、犯人に似た男に関わって生活をしていきます。もしかしたら、この男が殺人犯?と思わせる場面がたびたび出てきます。実際には、犯人ではないにも関わらず、疑ってしまうケースもあったりして、読んでいても緊迫感があります。

読者としても、誰が犯人と関わっているのかが分からないところが、この作品の面白いところです。

実は、すべてが男の形跡であるとも考えられるので、読んでいても続きがとても気になります。

最後の最後で、「怒り」が思いがけない形で表現されるのですが、現代の社会に何か通じるものがあるような気がしました。上下巻ありますが、あっという間に読み終わります。

2015年12月7日

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