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もっくん

もっくん

警察物を書かせたら右に出る者がいない(少なくとも私は、そう思っている)横山秀夫氏の作品である。64とは、元号の昭和64年ことである。平成へ切り替わる直前で7日間しかない。その7日の間にD県で起きた誘拐殺人事件に関わるD県警の内部を描いている。警察物といえば、刑事部の名刑事が難事件を解決するというのがほとんどであるが、64の主人公は三上義信、D県警の広報官である。

物語は、最初から伏線が次々に張られていき、横山ワールドにどっぷりと浸かっていく自分が分かった。伏線のいくつかは、置き去りもあるのかと思っていたが、最後には全ての謎が明かされていた。読みながら、自分が三上だったら、どうするのかを考えていた。同じように苦悩し行動するのか。刑事部と警務部、それと広報官という職務から報道機関の3方向からの板ばさみとなり、家族とのこともある。自分だったら、投げ出してしまうかもしれない。ともかく、登場人物が多くて、メモを取りながら読み進めた。半分を読み終わったところで、人物相関図まで作ってしまった。そのおかげで、後半は楽に読むことができた。

横山作品と言えば、臨場や顔FACE、クライマーズ・ハイなどの濃密な作品があるが、この64は、それらの作品とは一線を描いたもので警察物として秀逸である。

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