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わらこい

わらこい

主人公が実家で見つけた「ユリゴコロ」と題されたノートは殺人の記録だった。殺人者は父なのか母なのか。母が入れ替わったような気がするというのはどういうことなのか。

ノートの内容と主人公の語りが交互に出てくる構成で、先が気になって一気に読んでしまった。文章が非常に読みやすかったのもあるだろう。

私はなぜかいつもアウトサイダーに感情移入してしまう傾向がある。そのせいかこの殺人者はとても気に入っている。心の空虚さを埋めたいという欲求は誰もが持っているものだと思うが、その空虚さを埋める手段が殺人だったということだ。それでしか満たされなかったのだろう。しかしある人物と出会ってから殺人者の心が変化していく。「レッド・ドラゴン」のダラハイドを思い出す。これもまたお気に入りの殺人者である。

それからの終盤の展開は驚愕だった。切なくて涙が止まらなかった。ラストは意外にも幸福感に満たされ爽やかにすら感じられた。自己的な理由で犯し続けた殺人から愛情ゆえの殺人へ。それは法律などでは裁けないものかもしれない。

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