本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

グルヌイユ

グルヌイユ

読んでいる間に何度となく、海外の翻訳小説を読んでいる錯覚にとらわれた。

18世紀のヴェネチア。ピエタという名の、孤児を収容する修道院。そこに作曲家ヴィヴァルディの死の知らせが届く。ヴィヴァルディはピエタで、音楽の才能のある子供たちを指導していたのだ・・・

まるで現実に起きた歴史小説のように感じてしまうのは、実在の人物が登場しているからではなく、その文章力・表現力の巧みさにある。ヴェネチアの冬の空気、修道院にひびく子供たちの声、冷たい石造りの建物の感触までもが思い浮かび、その世界に取り込まれていく。

そしてそこに登場する様々な個性を持つ人々。

物語の語り手で、生まれた時からピエタで暮らすエミリーア。真面目でしっかり者の彼女は、やがてピエタを取り仕切っていくようになる。エミーリアと同時期にピエタに来た、音楽の天使アンナ・マリーナ。ピエタに寄付をする貴族の未亡人ヴェロニカ。そして極め付きは誇り高き高級娼婦のクラウディア。

すべての登場人物が、与えられた人生を必死で生き抜こうとする。その強さ、逞しさはすがすがしく感じられるほど。

歴史や謎、光と影を織り込んだ、まるで上質の絹織物のような手触りを持つ小説です。

2015年2月18日

受賞年度別

著者別