本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

乾太郎

乾太郎

これだけの長編作品を、苦もなく最後まで読了させてしまう著者の筆力は並大抵のもでのではない。文体は決して大袈裟なものではない。かと言って、軽いわけでもない。実に自然で流れるような文体だ。会話文に多用される長崎弁も、地元出身者ならではのこだわりがあっていい。

物語は、平面地図を見事な表現で立体化させた、霊的噂の絶えない峠の描写から始まる。母に捨てられ、祖父母とひっそりと暮らしてきたた土木作業員・清水祐一が、携帯サイトで知り合った保険外交員・石橋佳乃を殺害したのだ。そんな事情も知らずに三か月ぶりにメールを送った紳士服量販店店員・馬込光代は、空虚で孤独な毎日に終止符を打つために、躊躇しつつも殺人犯となった祐一を受け入れる。

上記の三人を軸に物語は展開するのだが、その他の登場人物(例えば祐一を捨てた母親や祖父母、佐賀市内で一緒に暮らす光代の双子の妹など)の緻密な描写には、この作家の非凡さが余すところなく表れていると思う。

2015年11月14日

受賞年度別

著者別