回転すし
冲方丁さんの小説を初めて読んだのは、SF物のマルドゥック・スクランブルが初めてです。
ストーリー展開の激しさなどが面白かったのを覚えていますが、打って変わって本作の方は江戸時代を舞台にした歴史小説。
著者のレンジの広さを感じますね。
さて、ストーリーの方ですが、あらすじをご紹介すると、江戸時代の数学者が神社に奉納していた算額を題材に、これを通して数学者同士の腕試しをしている様や、それが縁の恋愛模様など、色々と楽しませてもらえる内容となっています。
そして、ただ楽しいだけでなく、江戸時代における日本の数学界がどの様な物であったのかを読者に紹介してくれる、タメになる所も有りました。
数学と聞けば、その場から全速力で逃げ出したくなる方も多いこの世の中ですから、江戸時代ところか、現在の数学者の実情についても世間で知られているとは言えません。
なので、この点において意外に実用性があると言えるのではないでしょうか。
最も、本作は教育小説などではありません。
純粋に娯楽小説ですので、読んでいて主人公の恋愛模様や自分より優れた人間に勇気を振り絞って挑む姿に大いに共感する事が多いのではないでしょうか。
楽しかったですよ。