本屋大賞.com

全レビュー・口コミ件数:341件

本屋大賞に特化した書籍(本・小説)の口コミ・レビュー・ランキング【非公認】ファンサイトです。歴代の本屋大賞受賞書籍や、著者の関連書籍をデータベース化しています。各種ランキング機能により、読者から実際に評価の高い書籍や、おすすめの書籍を簡単に見つけることが出来ます。

紫猫

紫猫

伊坂幸太郎さんの本で、初めて読んだのがこの本です。

まず、物語の語り手と、その弟の複雑な関係に驚かされます。兄と弟は、母親は同じだが父親が違う。

弟の父親は、母親のレイプ犯。母親は周囲の反対を押し切り、弟を出産する。

この段階でもう、普通の家族環境ではないですよね。すごく重苦しい。

ところが、弟にはその陰が感じられず、明るく飄々としています。父も母も分け隔てなく兄弟を暖かく包んでいる。そこに連続放火事件が起きることで、少しずつ一人一人の心情が現れてきて・・・

読み進めていくうちに、すごく辛く胸が痛くて、でも途中で止めることはできません。兄も弟も、とても魅力的な人物。家族同士の強い愛情が、それぞれの人々の心を強くしています。

グラフィックアートの落書きや、軽妙なやりとりに現代的な軽さを入れながらも、人間とは、家族とは、生きることとは、という根本的な問題を投げかけてきます。

自分を貫こうとする生き様は美しく、正しいか間違っているかはともかく、エールを送りたくなる登場人物たち。予想外の展開に、そうだ、これはミステリーだったんだと改めて気づかされるほど、純文学に近いミステリーです。

2015年2月18日

受賞年度別

著者別