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蒼汰

蒼汰

警察小説といえば、横山秀夫の右に出る者はいないのではなかろうか。その著者が、前作から七年という長い時をかけ書き上げた長編小説が『64(ロクヨン)』である。

流石である。登場人物の属性から、彼らが取り交わす会話の一つ一つに至るまで、正に実存しているかのごときストーリー展開には驚きを禁じ得ない。加えて、緻密な心理描写でそれぞの人間関係に深みを与える手法は、横山作品の真骨頂といえると思う。

横山作品の特徴として、快刀乱麻を断つような大活躍を見せる辣腕刑事よりも、比較的地味な人間が主人公になることが多いのだが、今回もその黄金律は守られていたようだ。

昭和64年に起こった誘拐事件に、D県警の広報官である三上義信の娘が疾走した事件を上手に絡めながら、彼の目を通して最後まで描き切ってしまう著者の筆力は並大抵のものではない。

一人葛藤し、苦悩しながらも、事件の解決に向け全力を尽くす三上。その三上を信じながらも、反発してしまう広報課の職員たち。元刑事課の上司。娘を誘拐した犯人を執念で追い詰めていく父。様々な人間関係が、この作品を傑作に押し上げたエレメントといえよう。

2015年8月1日

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