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私がこの作品で1番好きなところは、ミーナと朋子がバレーボールに熱中し、ミュンヘンオリンピックに出場した男子バレーボールの選手たちを心から応援しているところだ。

小川洋子さんは史実を作品に絡めるのが上手い。「博士の愛した数式」では阪神タイガースの選手。「猫を抱いて象と泳ぐ」ではアレクサンドル・アリョーヒン。実在の人物が実際にあった活躍で創作の物語に華を添えている。

「ミーナの行進」でも、ミュンヘンオリンピックの開催中に起こった痛ましい事件や、そんな中で金メダルを目指した男子バレーボール選手たちの活躍が克明に描かれている。恥ずかしながら、私は事件のことも選手たちのこともこの作品を読むまで知らなかったが、まるでその時代を生きたかのようにのめりこめた。

また、ミーナの祖母が分断される前のドイツ出身であることも、大きな意味を持っている。それは、史実と創作の辻褄を合わせるための小細工などではなく、彼らが確かに生きた人間であることを感じさせるもので、私に生まれる前の時代だけでなく架空の世界を現実のように感じさせてくれた。

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