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小川洋子さんの書かれる人物は優しくてどこか物悲しい雰囲気を持っているような気がするが、特にこの作品の登場人物にはそれが強く感じられる。

彼らが優しくて物悲しいのは、定められた世界で生きているからではないだろうか。勿論、誰にだって定められた世界があるだろうが、多くの人がその世界に大なり小なりの不満を感じ、どこか違う場所へ行ってみたい、違う環境で挑戦したいと、1度くらいは思うだろう。けれど、この作品の登場人物たちは、自分のいる場所に不平不満を漏らさない。その場所での役割をできる限りこなしていこうとしている。すべてを受け入れる優しさが、あまりに自由すぎてどこか物悲しい。

主人公のリトル・アリョーヒンは、作中で自分の居場所を何度か移すが、それも自ら望んだことではなく、与えられた結果として選択させられている。そして、移動した先ではやはり自分の役割を担い切ろうと努める。

彼の人生そのものはとても息苦しいもののように思えそうだが、チェスを通すことで、彼ほど広い世界で生きた人はいないのではないかと思わされる。

2015年1月22日

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